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01――まずはSさんの仕事内容について教えてください。
グランドサマナーズ(以下:グラサマ)国内チームのクリエイティブディレクターとして、シナリオの制作・監修からキャラクター性能のバランス調整、企画まわり、アートのクオリティーチェック、プロモーション・PR関連の業務まで幅広く担当しています。
そのなかでもシナリオ製作は私にとって特に大事な業務です。
メインストーリーの大元の世界観は私がつくったものではないのですが、引き継いだ世界感を膨らませて新しいシナリオをつくり続けています。私自身がキャラクターや新しい設定を考えたり、サブストーリーやIP(Intellectual Property)コラボのシナリオまで書いたりします。
またシナリオは複数ラインで製作していて、他のライターさんが書く場合もあります。その際は書き上げたものにフィードバックをしたり直接手直ししたりと、最終的なクオリティラインは私が責任を持つようにしています。
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02――シナリオ作りでこだわっていることを教えてください。
大事にしていることは2つあって、1つ目は終わりを意識してシナリオを書くことです。
目的地へたどり着く気配がなく、ただ何となく続いているだけという印象を受けるシナリオにならないよう、しっかりと節目で区切るようにしています。
例えば今は(取材:2023年3月上旬)メインストーリーでは第4部を展開しているのですが、部としての1つの大きなテーマと着地点があり、4部としてのフィナーレを迎えるストーリー構成にしています。
開発当初からこうしたコンセプトを大事にしていて、グラサマは必ず各部の最後でエンディングを入れてスタッフロールも流します。こうした構成はかなり珍しいと思うのですが、スタッフロールを見ながらストーリーの余韻に浸ってもらう工夫をしているのはこだわりですね。
もう1つはテーマです。全体のシナリオを通して、プレイヤーにどんな気持ちになってもらいたいかを常に意識してテーマを決めています。
例えば最近だと、ある外伝のシナリオで家族をテーマにした物語をつくりました。最後に「家族って良いものだ」とユーザーに感じてもらえることを意識したんです。このように最終的にどんな気持ちになってもらいたいかというテーマを考えるか考えないかで、明確にユーザーの評価がわかれます。
終わりを意識し、テーマをぶらさない。この2つがシナリオをつくる際に大事にしている点ですね。
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03――人の心を動かすシナリオづくりにはどのような力が必要なのでしょうか。
知識量と、その知識を必要な時に引っ張ってこられる連想記憶力だと思っています。
いろんな小説を読んだり映画を観たり、ゲーム・マンガ・アニメなどに触れ、その時に良いと思ったアイデアはメモをとって知識を貯めるようにしています。もちろんそれも大事ですが、肝心なのはその知識を必要な場面で引き出せる力です。
新しいアイデアやシナリオの構成は、頭の中にある知識同士の組み合わせによって生まれます。知識があっても引き出しにしまっているだけでは役に立ちません。
こうした能力を鍛えるために私がしていることはギャグセンスを磨くことです。
グラサマには一コマ漫画といって、四コマ漫画を一コマに凝縮したようなギャグコンテンツがあるのですが、その内容も全て私が考えています。ギャグというのはAとBの共通点を見つけたり、逆にその違いを見つけて誇張したりしてみせることで面白さを表現するものです。ダジャレも同じですね。
こうしたAとBを結びつけるような力が連想記憶力です。一コマ漫画だけでなく、社内のChatworkのコミュニケーションでも割とギャグを言うようにしているのですが、それも考える力を鍛えてくれているのかなと思います。
私が仕事ができるかどうかはともかくとして、この連想記憶力の能力が高い人は仕事ができる人が多いですね。また、人を楽しませるギャグセンスのある人は、アイデアマンであることが多いので、特にクリエイティブな領域では強みになるのではないでしょうか。
クリエーターのこだわりを尊重する文化。ユーザーが満足できるストーリーをとことん追究する
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04――Sさんが一緒に働きたいと思うシナリオライターはどんな人でしょうか。
まずは共感力が高い人です。どんなキャラクターに対しても、そのキャラクターの心情を深く掘り下げて人の心に訴えられる要素がつくれる人ですね。ユーザーの気持ちを想像し、自分のなかにある“エモい”と思う世界感や設定、シチュエーションをどのように伝えれば共感してもらえるかを深く考えれば、きっと良いシナリオが書けると思います。
もう1つは、ストーリー以外の部分で面白い設定を考えられる人です。世界感の設定やキャラクターの「心」以外の部分、例えばゲーム内のギミックや謎解き、SFの知識など、こうした部分で作品を一層面白いものにできるアイデアを出すのが得意な人もぜひ一緒に働きたいですね。
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05――NextNinjaでシナリオライターとして働いたらどんな体験ができますか。この職場ならではのことがあればぜひ教えてください。
決まった通りに決まったものをつくってくださいという環境ではないので、こだわって良いものをつくりたい人にとってはすごくやりがいを感じられる場所だと思います。
NextNinjaは自由に開発に取り組める文化がある会社です。特に私たちグラサマチームでは、自分のアイデアを表現できる機会はかなり多くて、やりたいと思って出したアイデアが面白ければ採用されるし、その場合は発案者本人に任せて(シナリオを)書いてもらうこともあります。
また毎月新ストーリーがリリースされるため、その度にユーザーの反応がダイレクトに返ってくるのも面白いところです。「今回のシナリオは泣けた……!」「続きが気になる!」など、自分が書いたシナリオに対してダイレクトに反響をもらえるのはとてもやりがいを感じられると思いますよ。
シナリオもユーザーと一緒につくっている感じがかなりします。ユーザーの反響を見て少し裏をかくようなことをしたり、見せ方を工夫して驚かそうとしてみたり。プレイヤーの生の感情がはっきりとわかるので本当に楽しいですね。
X(Twitter)やアプリストアのレビューにて、「このゲームはシナリオが良い」と書かれているの見ると「よし!」って気持ちになります。
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06――グラサマはこれまでもいろんな壁を乗り越えて7年目を迎えているかと思います。これまでのこともふまえて、今後どうしていこうと考えているのか教えてください。
グラサマはリリースするまでかなり苦労しました。リリース発表をしたものの何度か延期を繰り返してようやく出た作品です。本当に頑張って頑張ってようやく出たという感じなんですよね。
最初はそれほど好調な滑り出しでは無かったのですが、それでも一部のユーザーにはしっかりとゲーム性や第1部のストーリーが非常に刺さって、少しずつ成長していったタイトルなんです。おかげさまで今7年目になりますが、ユーザーにも支持され、本当にいろんなキャラクターが生まれて世界感もどんどん広がっていきました。
シナリオまわりを中心に考えると、今後はグラサマが1つのIPとして認識されるくらいに大きく育てていけたらと考えています。そのためにも、まずは10周年を目指したいですね。
長く続いていくほど、ストーリーで語られていない部分にもユーザーは興味を持ってくれるようになります。「この時あのキャラクターたちは何をしていたんだろう」みたいに。今でもそこは独自の世界感をつくれているという手応えを感じています。
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一念発起して職業訓練でプログラミングを学び、やる気採用でゲーム会社へ
07――そもそもSさんがゲームづくりを始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか。
子どもの頃にプレイしたゲームのエンディングで感動してからゲームを好きになり、それから私のゲーム人生が始まりました。
実は私の家ではゲームが禁止されていて。だからなのかものすごくゲームがやりたくて、小学生か中学生のころ友達からゲームボーイを買い、親に見つからないよう布団のなかに隠れ、懐中電灯の明かりでゲームをしていました。
なかでもRPGゲームにどんどんハマっていき、その時に遊んでいたゲームのエンディングが大人になってもずっと頭に残っていたんです。この時に感じた印象深い体験を自分の手でつくり、他の人たちにも同じ感動を味わってもらいたいと思ったのがゲームを作りたいと思った原点です。
といっても、大学を卒業してすぐは全く違う業界に就職したのですが。
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08――なぜ別の業界に就職したのでしょうか。
ゲーム会社はハードルが高いと思っていたんです。当時私は文系に進んだのでプログラミングの勉強を全くしていませんでした。ゲーム会社に入るのであればプログラマーしかないと考えていましたが、プログラミングの勉強をしていない自分では入れないなと。それでなんとなく、別の業界の会社に就職しました。
ただ、その会社での仕事はかなりハードワークで、文字通り寝る間も惜しんで働いていました。このまま続けていても、いつか自分が怪我をしたり、車通勤の途中に事故を起こしたりしかねない。そんな環境で死ぬ気で頑張るのなら、やっぱり好きなことで頑張ろうと思って32歳くらいの時に退職し、職業訓練でプログラミングの勉強を始めたんです。
そしてNextNinjaとは別のゲーム会社にエンジニアとして就職し、仕事としてのゲームづくりが始まりました。一念発起といえば一念発起になります。
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09――職業訓練でプログラミングを学び、そこからゲーム会社に入社するというのはかなり珍しいのではないでしょうか。
そうですね。当時、私がいた職業訓練のクラスは30〜40人くらいでしたが、そのなかでゲーム会社に就職したのは私だけでした。ただそれは、私にそれほどのスキルがあったわけではなく、やる気が認められたから入社できたのだと思っています。
「どんなことでも絶対にやり切ります」「眠くなったら立ってでも仕事します」くらいのことを熱心に伝え、面接日当日に内定をいただきました。
あと振り返って考えてみると、当時はタイミングも良かったですね。ちょうどソーシャルゲームが流行りはじめたころで、今までWebブラウザ対応のゲームしか取り組んでいなかったような会社でもスマートフォン向けのゲーム開発を迫られていました。新しいジャンルということもあり、どの会社も人材がかなり不足していたんですね。
こうした背景もあり「ものになるかわからないけれど、やる気があるなら試しに雇ってみるか」と思われたのだと考えています。
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ユーザー以上にグラサマに熱狂しているメンバーがいるから楽しく働ける
10――Sさん達のチームにはどのようなメンバーが働いているのか教えてください。
グラサマチームにはグラサマがすごく好きだという人が集まっていて、普段からユーザーの反応などが日常の話題になります。「プレイヤーの○○さんがこんなツイートしていたよ」「このキャラめちゃくちゃ評判良いじゃん!」みたいに。
割とガチでプレイしていて純粋にゲームを楽しんでいるメンバーが多いので、こういうメンバーと一緒に開発できるのが非常に楽しいです。新しく良いものを作ろうという気持ちがどんどん湧いてきます。
ある意味メンバーが一番グラサマに熱狂している。そういう雰囲気があるから働きやすいし、私にも合っていると思えます。そういうところもグラサマチームの良さですね。
決してゲームをプレイすることを強制されているわけではありません。
そもそもやる気は強制によって生まれるものではないし、やりがい搾取なんて言う言葉も押しつけているから生まれるものです。「お前やる気だせよ」と言われてやる気を出すものではなく、自然とメンバーが自分達のゲームに熱狂できるチーム作りをすることが大切ですよね。
例えば私が具体的にしていることだと、シナリオづくりに関わっている人たちにX(Twitter)の反応をまとめたものを共有します。多忙で情報を拾いきれない人もいるので、「今回はこういう声があったよ」「あなたがつくったシナリオについて、こんな感想があったよ」と伝えることで、もっとユーザーと向き合おうという“熱”がチーム全体に広がっている感じはありますね。
とにかく毎日とても楽しい職場です。なんというか、遊びにきている感じに近いかもしれないですね(笑)
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11――最後に、応募者の方へお伝えしたい一言をお願いします!
・グラサマでは新しいシリーズのストーリーや、新しい世界観のイベントをか考え中なので、自分の世界観やエモいと思っていることを表現した人、自分のシナリオで全米(アメリカにも配信しています)を泣かせてやる!と思っている人が一緒に働いてくれると嬉しいです。
・今回の記事に共感してくれるような人ならきっと楽しく仕事ができると思います。
・この記事を読んで、実際にどんなメンバーで、どんな環境なのか見てみたくなった!という人は気軽にご連絡ください。